有吉サテライトクリニック/八幡西区婦人科/がんドック/乳がんドック/八幡西区婦人科女医/乳腺外科/八幡西区更年期/八幡西区泌尿器科

泌尿器科

毎週木曜日AM9:00~PM13:00

有吉サテライトクリニックでの泌尿器科診療と前立腺二次検診について
当院は、2018年3月にMRI検査が実施できるクリニックとして八幡西区に誕生し、2019年7月より、新たに泌尿器科診療をはじめました。泌尿器科では、健康診断での尿潜血陽性の二次検診、ご婦人や高齢男性の頻尿、膀胱炎などの尿路感染症、前立腺がん検診PSA検査)後の精密検査、前立腺がん放射線治療後のケアなどを中心に行っておりますが、前立腺がん検診について説明いたします。

★前立腺立腺がん検診PSA二次検診)
北九州市の特定検診のオプションで50歳以上は前立腺がん検診をお受けいただけます。測定するのは血液検査で、前立腺特異抗原(PSA)を測定する簡単な検査です。このPSAの異常値や触診で前立腺がんが疑われる場合には、当院の二次検診では早い時期にMRI機器(1.5T)で精密検査をお受けいただくことができます。がんの確定診断である前立腺針生検前にMRI画像を撮影すると、針生検部位に関するくわしい位置情報を知る上で有用です。特にがんが多く発生しやすい前立腺辺縁域においては、MRI単純撮影だけでも十分な診断が可能です。
撮影時間はおよそ35分安静に寝ていただくだけで検査ができますし、画像撮影後は、放射線診断の担当医で前立腺診断の医師に診断いただき、その後、患者さんに担当医より説明いたします。
泌尿器科担当医は、日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医・指導医で、これまで戸畑共立病院で根治放射線治療の、外照射療法(IMRT)、密封小線源治療(Brachy)、サイバーナイフ治療(SBRT)で前立腺がん治療に携わってきました。ですから、前立腺がんと診断した後の治療法選択についても十分なご説明ができると思います。

★MRI検査後
①前立腺がんを疑う所見があり、針生検が必要と考えられた場合には、MRI画像に基づいた標的生検を実施いただくよう、麻酔下で痛みの少ない検査をお受けいただける施設へご紹介しております。
②前立腺がんを疑う所見がありますが、高齢あるいは抗血小板薬などの薬剤中止ができない患者さんの場合には、画像所見によって前立腺がんと確定診断し、直後からホルモン剤内服薬の治療開始もできます。
③明らかながんを疑う所見がない場合には、前立腺肥大症である可能性が高いので、針生検よりも定期的にPSA採血での経過観察での待機的針生検を薦めております。経過中、PSAが急激に上昇する場合には、再度MRI検査を実施すれば、前回との画像変化から針生検を行う部位を決めることができます。また排尿症状が強い場合には、前立腺肥大症の治療薬を内服いただき、前立腺を小さくすることでPSA値を下降させ、同時に排尿障害の治療もできます。
④前立腺がんのホルモン療法、根治手術や放射線治療後の患者さんの場合には、治療後にPSAがゼロに近くなった場合、治療中止のために以前の前立腺内のがん所見が消失したかどうか、あるいは骨盤内リンパ節病変の有無を調べることもできます。また、根治療法後のPSA再発の場合には、前立腺の局所再発なのか、あるいは骨盤内のリンパ節転移、骨盤骨への転移についてもMRIで病巣を検索することができます。その後、がん治療施設へご紹介することもできます。
施設によっては、前立腺針生検本数を15本以上に増やした多数生検法を行って、小さながんを含めた診断がされることがあります。しかし、エコーやMRIなどの画像にうつらない小さな微小がんの多くは増殖速度が遅く、組織型によっては早期治療介入の必要性はないともいわれています。MRIvisiblecancer(MRIで描出できるがん)という表現が広く浸透しており、臨床的に治療介入すべきがんは大きさ5mm以上といわれています。
PSA二次検診では、針生検検査をお受けになる前にぜひMRI検査をお受けいただきたいと思います。他施設ですでに針生検をお受けになり、がんが検出されなかった患者さん(陰性生検後)では、PSA経過観察となりますが、その経過中に一度はMRI検査をお受けください。針生検前のMRI検査の有効性は前立腺がん診療ガイドラインでも推奨されておりますし、針生検しにくい前立腺部位(腹側)にがんが存在する可能性も考えられます。現在は木曜日午前中の短い診療時間ですが、ご要望の方は、診療について電話でのご予約をお願いします。

令和2年1月吉日
木曜日
泌尿器科担当山田陽司

前立腺癌治療についての当院の考え

有吉サテライトクリニックの泌尿器科ホームページには、これまで前立腺癌検診であるPSA健診でのMRI検査の有用性について説明しておりました。これは、前立腺癌健診でのPSA検査が有用であることはすでに周知の事実ですが、生検前のMRIの所見に基づき標的生検を実施することで、より精密ながんの診断検査となることを、戸畑共立病院での臨床経験から当院のMRI機器について説明しておりました。
今回は、前立腺針生検を施行され、前立腺癌と診断された後の診断と治療について、ご紹介します。確定診断後には一般的にCTや骨シンチなどの画像診断が行なわれ、転移がないかどうか、いわゆる癌のStagingが行われます。さらに前立腺癌では、下に記載しました腫瘍のT分類(画像診断)、リンパ節転移の有無、転移巣の有無などの一般的なTNM分類よりも、治療法選択には、①診断時のPSA値、②針生検での組織型(Gleason score)、③画像診断でグループ分類される次のようなリスク群分類(NCCN分類)から治療法が選択されます。

ここでのリスク分類の意味は、初期治療(放射線治療や手術療法など)を行った後の再発のリスクが低いか高いか、の分類でして、通常、担当医はそのリスク群分類から適した治療法選択を説明します。
ここで、日本よりもはるかに症例数が多い米国(NCCN分類)での治療法選択で、特に早期がんであるPSA<10.0未満の前立腺癌の治療法はどうなっているかみてみましょう。以前から、低リスク群前立腺癌(GS3+3=6)は、急ぎ治療を行わず、監視療法という考え方があります。これは、前立腺癌と診断されても、何の治療もせずに定期的にPSA検査と直腸指診、前立腺針生検を行って、患者さんの癌が増悪すれば治療を行うとする考え方です。しかし、本来低リスク群とは画像で見えない小さな転移はなく、前立腺被膜浸潤もほとんどないため、根治療法を行えば、治癒率は95%以上と高い(放射線治療の場合)ことが証明されており、低リスク群には密封小線源治療が適していると評価されています。
PSA>10.0となると中リスク群になりますが、低リスク群と比べて、手術療法、放射線治療いずれの場合でも治療成績が低下することが分かっています。つまり、監視療法で一旦PSAが上昇してしまうと、画像で見えない微小転移が増大する可能性が考えられ、その時点から治療開始しても、根治性が低くなり、将来、癌治療を追加しないといけないことが、英国のProtec Trial(2016)で証明されております(N Engl J Med 2016; 375:1415-1424)。つまり、低リスク群は、根治性が高く、副作用が少ない適した治療を受ければ、前立腺癌を改善に導くことができるのです。それには、以下のガイドラインに示されたような外照射療法(EBRT)または密封小線源治療が適していると考えます。

上のガイドラインでは、監視療法の次に推奨されているのは、ロボット支援を含む手術ではなくて、EBRT(外照射療法(IMRTやサイバーナイフ治療)または密封小線源治療(前立腺内に放射線線源をインプラントする)なのです。ロボット支援手術を含み手術療法よりも推奨度が高いのは、有害事象が少なく、有効率が高いことがすでに証明されているからです。

次に組織型がGS3+4=7、またはPSA>10.0となる中リスク群ではどうでしょうか。組織型で7点というのは、少し低リスク群よりは治しにくいのですが、下にある予後良好中リスク群とは、生検での陽性本数が少なく、GS=3+4の場合には、NCCNの推奨は、これまで米国での多くの施設での治療症例の結果を反映し、低リスク群同様に放射線治療の方が、手術よりも推奨度が高いとされています。

日本人は、癌に罹患したといえば、手術でとってしまいたいという考え方は以前からありますが、放射線治療では、動きが少ない臓器(脳腫瘍、前立腺癌)では従来では考えられない高線量の放射線治療を行うことで、根治性が高い治療が可能となってきています。当院の泌尿器科外来担当者(木曜日:山田陽司)は、現役の戸畑共立病院の泌尿器科診療部長で、15年間で1000例以上の前立腺癌の根治放射線治療を担当してきました。放射線治療は下のように、適用されておりますが、外照射療法や、密封小線源治療、最近ではサイバーナイフ治療についても、十分ご説明することができます。低-中リスク群前立腺癌の患者様には、手術ではなくて、新しい放射線治療によって完治する可能性がありますので、前立腺癌治療の選択でご心配な患者様は、当院を受診ください。

当院を受診される患者様は、①診断時のPSA値、②画像診断の結果、③生検された組織診断所見、④その後のPSA数値の変化、が分かれば、どのような治療がふさわしいか、ご説明できると思います。
当院の受診希望の患者様は、093-616-0888までご予約をお願いします。

文章責任:2023年 春 吉日
木曜日午前担当:泌尿器科 山田陽司

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